ナチョ・ビガロンド監督作「エンド・オブ・ザ・ワールド 地球最後の日、恋に落ちる」("Extraterrestre" : 2011)[DVD]

突然の巨大宇宙船の出現をきっかけに、アパートに取り残された男女の奇妙な関係の顛末を描くSFコメディ作品。

マドリードのある朝、フリオは見知らぬアパートの一室で目を覚ます。フリオはそこが前の晩に酔った勢いで流れこんだ見知らぬ女フリアの部屋だと分かるも、記憶が無く戸惑う。互いに動揺するのも束の間、フリオとフリアは携帯も固定電話も不通で、時刻も正確では無いことに気付き、更に日曜日なのに外が静かで誰も出歩いていない事を不審に思う。テレビはOAされておらず、ネットも不通な為、二人は状況が把握できずに困惑していると、ラジオが国防省による緊急事態発生の旨を伝え、対応チームの到着まで待機する様に命じる。その直後、二人はアパートからやや距離の離れたビルの向こうの空に浮かぶ巨大な宇宙船を発見し、驚愕する。二人はビデオカメラで宇宙船をズーム撮影し、テレビに映し出して観察する。

程なく、隣室に住むアンヘルが訪ねてくる。フリアは咄嗟にフリオを友達と紹介する。アンヘルは近隣の住民が皆、軍に連れられ避難した事を伝え、スペインだけで三十隻は宇宙船が来ているという情報を明かす。フリアに好意を抱くアンヘルは、フリオがフリアと関係を持ったと疑い、露骨にフリオを疎外する。外に出なかったというアンヘルが、なぜフリアが部屋に残っていると分かったのかとフリオが問い質すと、アンヘルはそそくさと帰る。

日が暮れると、フリオは宇宙船の回転速度からその大きさが直径7キロ程だと割り出す。フリオはアンヘルがアパートに留まった理由が、フリアがいるからだと見抜く。フリオは仕事が産業デザイナーで、両親の知り合いの依頼でパレードに出すコーヒーカップ状の乗り物を設計している事を明かす。フリオの提案で、二人は交代で宇宙船を見張る事にする。

翌朝、フリアの恋人カルロスがフリアを心配して8時間半かけて自宅から駆け付ける。フリアは通りで気絶していた見知らぬフリオを助けたと咄嗟に嘘をつき、フリオも同調する。カルロスはフリオが書いた宇宙船の概観図に感嘆すると、その横のカップの乗り物の図を宇宙人の戦車と誤解する。フリアはまたもや咄嗟に嘘を付き、その乗り物を通りで見かけたとフリオと共に示し合わせる。フリオは二人を気遣って退散しようとするが、カルロスは外が物騒だから留まる様にフリオに促す。

その後、カルロスがアンヘルを誘い、四人で食事を囲む。カルロスは軍が宇宙船の下を立ち入り禁止にしている事を伝える。フリアが宇宙人の来た目的を尋ねると、カルロスは宇宙人が自分達の知らぬ間に侵攻し、人間に紛れ込んでいるのではないかという見解を示し、この部屋にいれば安全だと諭す。アンヘルはその見解を否定し、宇宙人は人間がどんな存在かテストしていると推測する。フリオはアンヘルの自分に対する態度から、嫉妬しているのでは無いかと密かに問い質す。アンヘルはカルロスに浮気を伝えようとするも失敗し、部屋に戻る。

翌日の早朝、フリアはフリオを叩き起こすと、最初の晩にセックスしなかった事を明かし、フリオがアンヘルに嘘を伝えた事に憤り、追い出そうとする。フリオは自分は何も言っておらず、アンヘルの妄想だと反論するが、フリアはアンヘルからカルロスに浮気をバラすと脅された事を明かし、フリオを強引に追い出す。

アパートの外で、フリオはアンヘルの車を発見すると、窓を叩き割って車を奪い去る。フリオはスーパーで食料を調達した後、再びフリアのアパートに戻る。真意を問い質すフリアに、フリオは事実を捻じ曲げてアンヘルが嘘を付いている様に仕立てあげ、住民が逃げたのにアンヘルだけ残った事が疑わしく、信用できないと理解を促す。更にフリオはカルロスにアンヘルが宇宙人の可能性を説く。カルロスはアンヘルがフリアに何を言ったのか尋ねるが、フリアは答えに窮し、アンヘルがカルロスを疑っていたと嘘を付く。フリオとカルロスはアンヘルが厄介者だという意見で一致すると、アンヘルを呼び出し、拘束して口を封じて、屋外へ連れ出す。

カルロスはアンヘルに地球に来た目的を聞こうとするが、フリオは洗脳されかねないと制止する。二人はアンヘルを戻ってこない様に命じて逃がすと、アンヘルの部屋を封鎖する。アパートに戻ったフリオは、カルロスが来る途中の店で調達した弾の入っていない銃でアンヘルを脅して逃がしたと、話を誇張してフリアに伝える。フリアとフリオは次第に意気投合し、互いに好意を抱き始める。

カルロスは三人で車に乗って物資の調達を行う計画を立て、三人一緒にいれば安心だと主張する。その夜、フリアとフリオが宇宙船の見張りをしている間に停電が生じ、二人はその隙にカルロスの目を盗んでキスをする。

翌日、車で調達に出た三人の前に、UHF放送を見るように宣伝する男二人組の乗った車と遭遇する。テレビでは、避難している70人の市民グループの代表と称する男が局を占拠して、放送を行う。その夜、フリオとフリアはカルロスに隠れてセックスをする。

翌日、カルロスが無断で姿を消し、心配したフリアはドアの鍵を掛ける。程なく、戻ってきたカルロスは一人で外出した事を詫び、中に入れる様に求めるが、フリアが難色を示した為にアパートを出て行く。フリオとフリアはカルロスを閉め出したのをいい事に再びセックスに興じる。

翌朝、向かいのアパートに忍び込んだアンヘルが、二人への意趣返しとして、「フリアがフリオとヤッている」と書いた大量のテニスボールをマシンで部屋に打ち込み、カルロスに浮気を伝えようとする。更にアンヘルが集音器で盗聴している事も判明し、フリオはカルロスが買い物に出て行ったと偽って伝える。フリアは最近カルロスと大喧嘩し、関係が上手くいっていなかった事をフリオに打ち明ける。

その後、電話が復旧し、カルロスから連絡が来る。カルロスはテレビ局から物を盗んで追われている事を伝え、アパートのバルコニーから見えるビルを爆発して見せると、フリオのアパートにも爆弾を仕掛けた事を明かし、フリアの部屋の居間に残してきた本とPCを明朝8時までに安全な場所を見つけて置いておくように命じる。その後、テレビ局の男は銃で武装したカルロスが攻撃して来ている事を伝え、捕まえて殺す様に視聴者に促す。

その夜、フリオはアンヘルを黙らせる為に、アンヘルが眠っている間に拘束して、自身の管理する倉庫に閉じ込めようと画策するが、アンヘルに発覚し失敗する。フリアはカルロスが戻ってきた時の対処法をフリオに尋ねる。フリオは、フリアがカルロスと離れている間に独りで考える時間が必要と気付き、その後カルロスと別れる事にし、ほとぼりが冷めた後、フリオと互いの気持ちに気付いた事にする様に提案する。

翌朝8時にカルロスから連絡が来る。フリオは爆弾に見せかけて作った装置を向かいのアパート前に設置すると、約束を破った事でカルロスにフリオのアパートを爆発させ、あたかもフリオが爆発させた様にアンヘルに見せかける事で、アンヘルを脅す計画を実行に移す。フリオはカルロスに爆発させる様に促すが、カルロスは本とPCが必要無くなった事を告げ、フリオのアパートを爆発せずに、フリアの事をフリオに任せようとする。しかし、フリアはカルロスが約束を守る男だと諭し、カルロスに爆発を実行させる。爆発を見て慄いたアンヘルがアパートから飛び出したところを、フリオが捕まえてアンヘルの車内に拘束する。

しかし、その後、武装したカルロスがテレビ局を占拠し、爆発がテレビ局の人間を脅す為だったと判明する。カルロスはテレビ局を占拠した者達が宇宙人の潜入者だと疑っており、男に潜入者のリストの自白を求める。それを見たフリアは潜入者の話が嘘である事と自分が浮気した事を打ち明けるべく、カルロスと会う約束をしたとフリオに理解を求める。フリアはカルロスの自分への心からの愛を知り、フリオはそんなフリアの様子を見て、カルロスに対する愛が消えていない事を知る。

夜、フリオはアンヘルの車に戻り、アンヘルに詫びると、車を宇宙船の下の立ち入り禁止地区まで走らせ、アンヘルが二度とフリアとカルロスの邪魔をできない様に図る。フリオが宇宙人だと誤解して慄くアンヘルは、マドリードから離れる事を約束する。別れ際、アンヘルはフリアへの迷惑を承知で去る勇気が出なかったが、この状況から出られる事の感謝をフリオに伝える。フリオはフリアの為にやった事だとし、話を合わせる。

翌朝、フリオはカップ型の乗り物を完成させると、アパートに戻り、フリアが眠っている間にビデオメッセージを残して去る。フリオはその中で、もう一つだけ嘘を付く事にしたと伝える。

フリオが乗り物でテレビ局に向かうと、カルロスは宇宙人の戦車と誤解し、火炎瓶で攻撃して炎上させる。フリオは自分が宇宙人だという事にしてカルロスと対面すると、宇宙船からマシーンに乗ってフリアの元に訪れ、すぐに去るつもりだったが、カルロスに止められ、二人を知る絶好の機会だと思ったと明かす。フリオは更に、カルロスを追い出した事について、情報を得る為に、反対するフリアを説得したと告げ、警戒させずに情報を手に入れたかったが嘘に疲れたと明かし、二人の事を知りたかっただけだと詫びる。フリオはテレビ局の者達が宇宙人では無く人間だとカルロスに諭し、自分に任せる様に告げると、フリアの元に戻る様にカルロスに促し、はるばる宇宙船で地球に来た理由は特に無いと伝える。

フリオはフリアへのメッセージの中で、計画が成功すればカルロスが戻ってくると伝え、何度も言おうとしながら躊躇して言えなかった「愛している」という言葉を告げる。

カルロスが去った後、フリオはテレビ局の男と二人で遠方の空に浮かぶ宇宙船を眺める。

 

 

一応SFではあるのだが、巨大宇宙船はストーリーの出汁に過ぎず、ただデデーンと浮かんでいる様子が映し出されるだけで、当然宇宙人なんか出てこない。出会って間もない男女と女の彼氏、更に女のストーカーの四人が、避難し損なった事でアパートで一同に介すワケだが、女が浮気の発覚を恐れる余り、咄嗟に嘘をつき、更に男もそれに同調した事で、互いに次々に嘘が積み重なり、思わぬ方向へ展開していくユルめのコメディである。よってSF要素を期待するとガッカリどころでは済まないので、その点は留意した方が良い。自分はそれを承知で観たが、予想以上にSF要素は無く苦笑した。これがスペイン作品のノリなのかよく分からないところだが、日本人の感覚ではやや付いていけないシーンが散見された。地球最後の日かどうかは作品の中で明示されないが、果たしてどうなるんだろうな。

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